聖域にて"仕事"の報告を終えた後、妹に逢う為にホワイトランに足を運ぶ
それがいつものヴィオラの休暇の始まりである
ホワイトランの門をくぐり、騒がしい市場を抜けて、妹が暮らす同胞団の本拠地であるジョルバスクルへと向かう
その扉を開けると、大きな炉の側に赤髪で長身のノルドの青年が立っていた
こちらに気付いて近付いて来た青年と軽い挨拶を交わし、妹を呼ぶ様に頼むと、同胞団の"導き手"である眉間に皺を寄せたインペリアルの男が姿を見せる
日頃の妹に対する苦情を聞き流し、不在である妹への伝言を男に預けて、ヴィオラはジョルバスクルを後にした
ギルダーグリーンのある広場を抜け、階段を下りた先にある宿、バナードメアにヴィオラは足を踏み入れる
いつもの様に一室を借り、部屋の扉に鍵をかけ、身につけているものを外し、その白い肢体を質素な布で包む
「相変わらず賑やかね……ここは」
テーブルにある蜂蜜酒を少しずつ口にしながらヴィオラは呟いた
「俺は結構好きだがな」
突如背後から聞こえた声の主を、 ヴィオラは呆れた様な少し怒った顔で見据える
ヴィオラが良く知るインペリアルの男、" 闇の兄弟"がそこに立っていた
「だから、どうして勝手に入ってくるのよ……"仕事"以外で私に近寄らないでっていつも……」
「まあ、そう固い事言うなよ。丁度ソリチュードで良い酒が手に入ってな。ほら、お前さんも一杯どうだ?」
男が右手に持った酒瓶を軽く振りながら笑う
「だからといって、部屋の鍵を勝手に開けて入ってくる理由にはならないわよ……」
ヴィオラはひとつ大きな溜息をついて、 観念したかの様に椅子へと腰をかけた
隣に座った男が、静かに酒瓶からワインをカップへと注ぐ
「女を落とすには多少強引な方が良いんでね……ほら、旨いから呑んでみろって」
「……変なモノ入れてないでしょうね?」
横目で男を睨みつけつつ、ヴィオラは渋々カップを口へ運ぶ
「!!何これ……美味しい……」
先程までの険しい表情がまるで別人かの様に、ヴィオラは口へ手を当ててキラキラと目を輝かせる
「だろう?シロディールのフルーツワインってやつだ」
「へぇ……こんなに美味しいのは初めてだわ」
嬉しそうにワインを口にするヴィオラを、男はどこか優しげな眼差しで見ていた
「気に入っていただけた様で、何よりだな」
「でも意外にキツいのね、これ。蜂蜜酒程では無いけれど、口当たりが良いから……」
普段あまり口にすることの無い酒のせいか、ヴィオラの白い頬に赤みが僅かに差す
「なんならベッドまで運んでやろうか?」
男は少し悪戯な表情を浮かべて、慣れた手付きでヴィオラの腰へと腕を滑らせた
「!!……結構よ。気安く触らないで頂戴」
ヴィオラは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐさま男を睨みつけ、その身体を引き離して足で軽く押し返す
「やれやれ、足癖の悪い困った子猫ちゃんだ」
「女癖の悪いアンタに言われたくないわ」
楽しそうに笑いながら男は煙草を消し、掴んだヴィオラの足先にひとつ唇を落とした
かなり前にこっそりTLで投下したやつを……( ˙꒳˙ )
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